「70都市住宅価格指数」は底打ちへ(中国)【キーワード】
2015年5月19日
<今日のキーワード>
「中国主要70都市新築住宅価格指数」(以下、70都市住宅価格指数)は、主要70都市について、平均的な販売用新築住宅価格を指数化したもので、前月を100(前月比の伸びと同じ意味)として表し、中国国家統計局が毎月算出します。70都市には、北京、深センなどの大都市と中都市が選ばれています。70都市のうち、前月比で指数が上昇、下落、横ばいとなった都市の数も注目されます。
【ポイント1】北京、深センなどの大都市では前月比上昇
昨年9月~11月の上昇都市数ゼロを最低として、上昇都市数は徐々に増加
■5月18日に公表された4月の「70都市住宅価格指数」は、前月から上昇した都市数が18と3月の12から増加しました。最大下落都市の下落率は、4月は前月比▲0.7%と、2014年9月の▲1.9%に比べて、下落率も縮小傾向にあります。
■セカンドハウス取得促進策など、3月後半に発表された一連の住宅市場テコ入れ策の効果が、新築住宅市場にも波及していると見られます。政策金利の引き下げにより、住宅ローン金利も低下したこともプラスに働き、大都市の住宅市場は底入れしつつあると見られます。
【ポイント2】小都市は引き続き下落
住宅以外の不動産投資額は鈍化傾向
■一方、地方などの多くの中小都市では引き続き住宅価格は下落傾向となっています。
■また、住宅以外の不動産取引を含めた市場全体では、投資抑制が継続しています。不動産開発投資の4月は年初来累計で前年同期比+6.0%の増加と、2014年通年の前年比+10.5%増から鈍化傾向です。

【今後の展開】年後半には、住宅市場の回復による消費の刺激を期待
■回復は住宅市場が先行する動き
政府は、波及効果の大きい住宅市場をテコ入れして、減速する内需のテコ入れを図る方針です。まずは、追加金融緩和で住宅ローン金利を低下させると見られます。住宅投資の回復による個人消費の刺激効果は遅くとも年後半には期待されます。
■住宅以外の不動産市場の抑制傾向は当面継続
一方、住宅以外の不動産市場は抑制傾向が継続しそうです。過剰な不動産開発投資の原因となっていた地方政府の資金調達の改革はまだ途上であり、改革の効果が表れるには時間がかかると見られます。住宅以外の不動産市場は抑制的な傾向が当面続くと見られます。