G20で中国が「AIIB」をアピール(中国)【キーワード】
2015年4月21日
<今日のキーワード>
AIIB(The Asian Infrastructure Investment Bank、アジアインフラ投資銀行)は、アジア地域の膨大なインフラ需要を資金面で支援することを目的に中国主導で設立が進められる国際金融機関です。米国、日本などは参加を表明しておらず、設立に向けた姿勢が主要国の間で異なる中、16日、17日に米国の首都ワシントンで開催された主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の共同声明が、AIIBをどのように位置づけるか注目されていました。
【ポイント1】G20声明では直接言及されず
新興国やIMFはAIIBの設立を支持
■17日に発表されたG20の共同声明では、AIIBへ直接の言及はありませんでした。一方、米国は、IMF(国際通貨基金)の運営について新興国の発言権を強めるよう是正を求められました。
■インドなど多くの新興国やIMFは、インフラ開発への期待などから、AIIBの設立を歓迎しました。IMFなど既存の国際金融機関での改革が遅れ、新興国の発言権が経済力に見合う形で反映されていないことも背景にあります。
【ポイント2】欧州の主要国は参加を表明
米国、日本は参加表明をせず
■AIIBに出資する国・地域はアジアの様々な産業分野との接点を増やすビジネスチャンスが見込まれることから経済面でのメリットが大きく、欧州では、英国、ドイツ、フランス、イタリアなど主要国が参加を表明しました。AIIBの創設メンバーは4月15日に57カ国と決定されました。アジア開発銀行(ADB)の67カ国・地域に迫る参加国の数です。
■米国や日本は参加を表明しておらず、組織運営や融資に際して環境面への配慮などでAIIBが国際基準に基づくことを求めています。

【今後の展開】中国の新たな国際金融秩序の枠組み構築に向けた挑戦が続く
■国際金融面でも中心的役割を目指す中国
中国は世界第2位の経済大国であり、投資や貿易面でアジア各国・地域と密接な関係があります。一方、国際金融市場は、IMFや世界銀行、ADBなどに代表されるように、先進国が主導しています。中国は、AIIBを通じて国際金融面でも中心的な立場に立ちうる新しい枠組みを構築しようとしています。
■米国や日本の動向に注目
57カ国は創設メンバーとして、AIIBの枠組み作りの交渉に参加する見込みです。融資審査基準の透明性や決済機能のあり方など、既存の国際金融秩序との関係で詰める点は多くあると思われます。交渉の進展具合により、米国や日本などが参加に踏み切るかどうかが、注目されます。