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「新常態」を正式決定(中国)【キーワード】

2015年3月17日

<今日のキーワード>
3月15日、中国では「全国人民代表大会(全人代、日本の国会に相当)」が終了しました。今年の「全人代」では、成長の「速度」よりも「質」を重視する姿勢への転換が正式に決定されました。2015年の経済成長率目標は「+7%前後」に引き下げられ、安定成長と構造改革を両立する「新常態」で“製造強国”を目指す新たな中国の戦略が明らかとなりました。

【ポイント1】経済対策の動員を示唆

+7%前後の成長率達成は「簡単ではない」
■記者会見で李首相は、「+7%前後」という、2015年の目標成長率の達成は、「簡単ではない」と発言する一方、これまでの経済対策は比較的小規模にとどめていたことに触れ、財政・金融政策の発動余地は比較的大きく残されているとして、全人代後の経済対策の動員を示唆しました。

【ポイント2】「法」や「市場」原理重視へ

人々の意識も脱新興国
■「全人代」では、経済・金融以外では、「法治」や「腐敗」を防ぐ仕組み作りに重きが置かれる方針が明らかとなりました。これまでの官僚などの裁量に代わり、より透明性が高い「法」や「市場」原理に則った社会の仕組みを目指すと見込まれます。

■これまで優先度が低かった環境保護にも、力点が置かれます。人々の意識が、成長重視から生活の「質」重視へと変化してきていることを受け、経済発展の目標も「質」重視へと変化しています。

【今後の展開】明らかとなった、「新常態」で目指す“製造強国”ビジョン

■製品の「質」を向上、イノベーション推進
李首相は、「中国製造2025」という新たな10年計画を始めることを明らかにしました。中国が得意な製造業の分野で、先進国並みの製品の「質」を追求し、研究開発に力を入れ、イノベーションを推進する方針です。これまでの労働集約型の製造業から、大きな改革・飛躍を図り、“製造強国”と表現される状態を目指します。

■サービス業の拡大やインフラ整備にも力
サービス業の分野でも、行政の簡素化や金融自由化の推進により、改革を進める方針です。周辺国の出資を得て、アジアインフラ投資銀行(AIIB)を年内に設立し、現代版シルクロード建設(一帯一路)により、周辺国とのインフラ整備を一体的に進める方針が示されました。今回の全人代を通じて、次の10年に中国が目指す道が徐々に明らかとなってきました。

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