ホームマーケット日々のマーケットレポート【キーワード No.1,309】上海と香港株式市場の「相互乗り入れ」発表(中国)/マーケット情報・レポート - 三井住友DSアセットマネジメント

【キーワード No.1,309】上海と香港株式市場の「相互乗り入れ」発表(中国)

2014年4月15日

1.現状の中国株投資の規制は?

 中国本土と海外の自由な資本移動は認められていません。中国本土に投資するには、適格海外機関投資家(QFII)や人民元建て適格海外機関投資家(RQFII)といった資格が必要で、投資上限もあります。
 日本の個人が行う中国株投資は、こうした資格を持つ機関投資家の設定した投資信託、もしくは香港市場に上場した本土関連銘柄であるH株やレッドチップ銘柄を購入することが一般的です。

2.最近の動向

 中国本土と香港の管理当局らは10日、株式市場の相互乗り入れ制度の創設を発表しました。上海の投資家が香港に、香港の投資家(日本人も可)が上海に投資できるよう、相互に売買注文や決済を取り次ぐ制度です。同10日は、香港株が恩恵を受けるとの見方などから、金融銘柄を中心に香港株が上昇しました(ハンセン指数は前日比+1.5%)。
 当初認められる1日当たりの投資額は上海から香港向けが105億元、香港から上海向けが130億元です。今後、制度開始まで6カ月間をかけて準備が行われる方針です。

3.今後の展開

 新制度はQFII、RQFIIの運営には影響せず、これらと別に、対象を個人投資家に拡大して実施されます。上海向け投資の上限が3,000億元、香港向けが2,500億元とされたことに対し、上海株式市場が14.8兆元、香港が23.0兆元(いずれも3月末)であることからすると、大幅な規制緩和というわけではありません。
 しかし、中国本土の市場や資本が、海外に向けて一段と開かれ、香港が窓口となることで、両市場の魅力はまた一歩高まるものと思われます。こうしたなか、目先の市場では、本土、香港に重複上場する銘柄のうち、割安感のあるものなどを制度開始に先駆けて物色する取引の増加が想定されます。
 中長期では、投資に習熟した香港の投資家との交流が、本土市場に与える好影響が期待されます。今回の発表前にも、3月19日には海外投資家に認める中国A株上場企業の株保有比率を20%から30%に引き上げるといった規制緩和がありました。さらに中国政府は今年、QFII、RQFIIの枠を再拡大するとしており、海外投資家の発言力を強化して、国有企業に一段の改革を促す方針です。こうした改革、効率化が進めば株価の押し上げ材料となることも期待でき、今後も対外開放や金融改革の行方が注目されます。

関連マーケットレポート