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【キーワード No.1,296】中国政府、景気支援姿勢への転換に期待(中国)

2014年3月27日

1.中国の景気支援策とは?

 中国の景気支援策としては、2009年~2010年に実施された4兆元(約66兆円、1元=16.5円で計算)規模のものが有名です。ただし、これは不動産市場の過熱、影の銀行拡大などの副作用も伴いました。

2.最近の動向

 中国政府(国務院)は先週19日の常務会議で、「成長安定化に向けた対策を加速させる」方針に言及しました。同会議は、過去にも4兆元の景気支援策の実施決定(2008年11月)、インフラ投資の中期計画の前倒し決定(2012年5月)など、経済運営に大きな影響を与える決定を行ってきました。
 また、同19日には証券監督管理委員会が上場不動産会社に、不動産開発目的での新株発行増資を行うことを認めました。中国政府は2010年10月から、不動産市場の過熱をけん制するため、こうした増資を差し止めていました。このことが影の銀行への依存を高めた側面もあり、規制緩和による市場の役割拡大を通じて、不動産市場の信頼性を高めるとともに景気のてこ入れを図るねらいがあると見られます。

3.今後の展開

 1-2月の経済指標は減速が目立ち、2014年の成長目標「+7.5%前後」を余裕を持って達成するには、やや力不足と言った感があります。仮に、減速が3月も続くようならば、4-6月期中にも支援策が実施される可能性がありそうです。こうしたなか、過度の期待が高まらないよう、楼継偉財政相は「大規模な支援策は実施しない」旨の発言を繰り返しています。ただし、足元の物価の落ち着き、財政の余力なども踏まえれば、何らかの刺激策が実施される可能性は徐々に高まっていると思われます。
 想定されるのは、政府主導の投資拡大だけでなく、今回の増資認可のように、金融市場をテコにした支援策の組み合わせです。近年、影の銀行が成長の一翼を担ったことに対し、銀行や株式市場の活力はやや低下しており、これを活性化させる方向と見られます。市場では、今後の中国政府が景気支援姿勢により傾くとの期待もあり、20日の主な株価指数は前日比+2~3%の大幅高となりました。今後、市場原理を一段と導入する改革が進み、中国経済の効率化や景気の下支えに寄与するか、注目されます。

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