ホームマーケット日々のマーケットレポート【キーワード No.1,281】2014年の「全人代」が開幕、ポイントは?(中国)/マーケット情報・レポート - 三井住友DSアセットマネジメント

【キーワード No.1,281】2014年の「全人代」が開幕、ポイントは?(中国)

2014年3月5日

1.「全人代」とは?

 「全人代(ぜんじんだい)」とは、「全国人民代表大会」の略称です。中国の最高権力機関および立法機関であり、日本の「国会」に相当します。全人代は年に1回、毎年3月に約10日間にわたって開かれます。
 2014年の会期は5~13日となり、例年と比べてやや短めです。習近平政権としては、昨年11月の三中全会で、「市場原理を重視」する長期方針を示したところであり、その進ちょくが注目されます。

2.最近の動向

 金融市場に影響する分野という観点では、①人民元の変動幅拡大、②金融システムの安定性強化、③大手国有企業の一段の民間資本受け入れ促進、などが比較的近い将来に具体化すると想定されます。
 特に、②の金融システムの安定性強化については、預金保険制度の設立、銀行の手元資金の積み増し(2018年にかけての規制強化を発表済み)、不動産部門への融資厳格化など、複数の政策を合わせて取り組むと見られます。政府は、急拡大を続けているシャドーバンキングの監督を強化する上で、今年はいくつかの理財商品の元本割れが発生するケースもあり得ることなどを念頭に置いていると思われます。

3.今後の展開

 金融関連の改革は比較的進めやすいものの、景気が失速しないよう、配慮する必要があります。なお、今回の全人代に先立って実施された各省・自治区レベルの全人代では7割近くが成長目標を切り下げました。2014年の全国の成長目標も、7%または7.5%のやや慎重なものが想定されます。過剰投資に頼った成長を見直し、徐々に「安全運転」へと転じたことは、今後の改革の負担減少につながります。
 市場の期待が高いもう一つの改革は、既得権益層との調整が困難な「国有企業改革」です。2月19日、石油大手シノペックは小売部門に30%までの民間資本を受け入れると発表し、翌日の株価は前日比+11%のストップ高となりました。従来から巨大な組織網と資産を持つ国有企業、特にエネルギー部門は顧客の急増に伴う大きなチャンスに直面しています。一方、課題の効率化を進めるには一段の民営化が有効と見られますが、関係者の消極姿勢は根強く残ります。政府が企業への「市場原理」導入を後押しするかは今年のポイントの一つです。

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