国会で「破産法」成立か?(インド)
2016年4月26日
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インド国会の下院でモディ改革の重要法案である「破産法」が審議されています。インドでは企業の破綻処理に関し、現時点で先進国のような体系だって整備された法律がなく、対処に時間がかかっていました。処理期間短縮(180日以内の破綻意思決定)や透明性向上を目的として導入を目指しています。ちなみにインドの破産手続きには平均4.3年かかるというデータもあります(2015年世界銀行調査)。
【ポイント1】包括的「破産法」の誕生に期待
企業再生や銀行の不良債権処理がスムーズに
■モディ改革の重要法案(物品・サービス税法、土地収用法など)がなかなか成立しないなか、現在下院で審議されている「破産法」が成立する可能性が高まっています。「破産法」は、与党インド人民党(BJP)が過半数を占める下院で成立すれば法制化されます。
■インドでは日本の「破産法」に相当する倒産の基本法は制定されておらず、赤字会社法、企業債務整理(インド準備銀行(RBI)ガイドライン)など様々な破産処理関連制度が存在します。モディ政権はそれらを体系化した世界水準の「破産法」を制定し、迅速かつ公正な企業再生や銀行の不良債権処理の実現を図ろうとしています。
【ポイント2】インドの銀行改革に追い風

銀行貸出金利の低下が加速か
■RBIのラジャン総裁は金融システム強化の為の銀行改革を進めています。銀行は改革により不良債権処理を強く促され、「破産法」成立は不良債権処理を後押しします。
■不良債権処理の促進は、銀行資産の健全化を促し、RBIの政策金利に比べ高止まりしている銀行貸出金利の低下を加速させる可能性があります。
【今後の展開】市場の期待は、破産法成立による改革進展へ
■モディ改革にはずみがつく可能性
モディ政権は、これまでも行政改革や銀行口座への補助金直接給付など改革を着々と進めていますが、構造改革の一つである「破産法」が成立すれば、改革にはずみがつくことが期待されます。
■消費と企業業績改善に期待
「破産法」が成立した場合、RBIの銀行改革と相俟って個人や企業向けの更なる貸出金利低下が予想され、消費と企業業績の改善期待が株式市場には追い風になりそうです。