「ビジネス環境」改善で成長力引き上げ(インド)【キーワード】
2015年12月4日
<今日のキーワード>
モディ政権は、経済構造改革(モディノミクス)を進め、世界の「ビジネス環境」(Doing Business)ランキングを大幅に引き上げたいとしています。世界銀行グループによる同調査では、世界各国の事業立ち上げ、納税手続き、契約の実効性など10項目を採点し、ランキングを公表しています。企業の活動のしやすさを測る指標のひとつです。
【ポイント1】「ビジネス環境」ランキングでインドは130位、4ランク上昇
モディ政権は改革を進めて50位以内を目指す
■最新の「ビジネス環境」調査結果は、2016年版として今年10月27日に発表されました。全189カ国中、ランキング1位は10年連続のシンガポール、2位はニュージーランド、3位はデンマーク、日本は34位でした。
■インドは130位と、低位ながら前回から4ランク上昇しました。項目別のランキングを見ると、電力供給が99位から70位に大幅にランクアップしたほか、事業立ち上げも上昇しました。ただし、モディ政権は改革により順位を50位以内に引き上げる意向を示しており、実現に向けてモディノミクスの一層の進展が必要な状況です。
【ポイント2】納税手続きなどが要改善点
「ビジネス環境」改善で経済活性化
■低迷した項目は、建設許可の取得(ランキング183位)、納税手続き(同157位)などです。モディノミクスの目玉である土地収用法の改正と物品・サービス税(GST)の導入が実現すれば、ランキングの大幅上昇が可能となりそうです。
■「ビジネス環境」ランキングの上位ほど、1人当たりGDPも高い傾向が見られます。モディノミクスの進展、所得水準向上に伴い、ランキングも上向くと考えられます。

【今後の展開】モディノミクスやRBIの政策効果を通じた経済の活性化に期待
■インドでは、11月26日から12月23日の予定で国会が開催されています。野党が議事運営に関して与党インド人民党(BJP)に歩み寄りを見せており、遅れている物品・サービス税(GST)の審議進展が期待されます。
■インド準備銀行(RBI、中央銀行)は、政策金利の引き下げにより民間の貸し出し金利の低下を図る意向です。資金調達は「ビジネス環境」評価の一項目でもあり、政府・RBI両方の取り組みによる経済の活性化が期待されます。