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「アジアのインフラ投資」(アジア)【キーワード】

2015年5月27日

<今日のキーワード>
中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)の創設、アジア開発銀行(ADB)の審査基準の迅速化と融資限度額の引き上げ、日本のアジアインフラ整備支援表明など、すべてが「アジアのインフラ投資」を狙った動きです。今後、「アジアのインフラ投資」を巡って、各国政府、各銀行、各国企業間での競争激化が予想されますが、競争がアジア経済をインフラ主導での成長へと促すことが期待されます。

【ポイント1】日本はアジアのインフラ整備に今後5年間で13兆円の支援を打ち出す

「アジアの未来」で表明
■5月21日から22日、東京で第21回国際交流会議「アジアの未来」(日本経済新聞社・日本経済研究センター共催)が開催されました。注目を集めたのは、安倍首相がアジア開発銀行と連携して、今後5年間で約1,100億ドル(約13.2兆円)をアジアのインフラ設備に投じると表明したことです。また、22日、23日に福島県いわき市で開催された太平洋・島サミットでも、首相は今後3年間で550億円以上の財政支援を表明しました。太平洋島しょ国に対して温暖化や災害対策としてのインフラ整備に注力することになります。アベノミクスでは世界の市場開拓戦略として、インフラ輸出を推進しています。成果目標としてはわが国企業の2020年のインフラシステム受注を約30兆円にするとしています(2013年9.26兆円)。

【ポイント2】世界で拡大するインフラ需要

中心はアジア
■世界のインフラ需要は2012年時点で1.32兆ドルでした。そのうち海外受注(*)は約5,100億ドルです。海外受注の内訳を見ると、アジア地域が1,388億ドルと全体の27%を占めて最も大きく、かつ、年+20%の成長となっています。中でも、インドネシア、マレーシア、シンガポール、フィリピン、タイ、ベトナム、インドといったアジア地域の鉄道網を含む交通分野の整備は経済発展のために必要なインフラです。
(*)その国の案件を他国業者が受注しているケース。

■分野別では、交通分野に加え、水関連のインフラ投資もけん引役として注目されています。中期的な視点に立てば、いずれ世界の社会インフラ投資は水関連(維持・管理投資)が最大のけん引役になるとも考えられています。

【今後の展開】競争がインフラ主導の成長を促す

■日米欧は共同歩調を模索
27日からドイツ・ドレスデンで開催されるG7財務相・中央銀行総裁会議では、「インフラ投資」が議題に上ると伝えられています。アジアのインフラ投資需要は急速に拡大する中、様々な枠組みを活用しながら資金需要に貢献する必要があります。

■主導権争いは続く
アジアインフラ投資銀行(AIIB)は年内の設立を目指していますが、日本やアジア開発銀行(ADB) が一歩リードしている感はあります。しかし、アジア圏は中国経済を抜きには語れず、来年以降はAIIBの活動も活発化すると思われます。主導権争いは続きますが、競争がアジア経済をインフラ主導の成長に導くと期待されます。