ホームマーケット日々のマーケットレポートトルコの総選挙、AKPの勢力に注目 (トルコ)【キーワード】/マーケット情報・レポート - 三井住友DSアセットマネジメント

トルコの総選挙、AKPの勢力に注目 (トルコ)【キーワード】

2015年5月26日

<今日のキーワード>
トルコでは、6月7日に4年に一度の総選挙が実施されます。与党公正発展党(AKP)は、2011年の前回総選挙で全550議席中327議席を獲得し、2002年以来の単独政権を続けています。今回の総選挙では、AKPが単独過半数の議席数を維持できるか、憲法改正の国民投票実施に必要な議席数(5分の3の330議席以上)を獲得できるか、などに注目が集まっています。

【ポイント1】AKPは第一党維持も、単独過半数は微妙

少数政党の得票率がカギ
■最近の世論調査によると、AKPが第一党となることは確実な情勢です。AKPへの支持の背景の一つには、現エルドアン大統領が昨年まで首相として実現した高い経済成長があります。現在は、ダーヴトオール首相率いる現政権の経済運営にも期待が強い状況です。

■一方、AKPの支持率は40%台前半にとどまり、単独過半数の議席獲得は困難との見方が出ています。AKPの獲得議席数の上乗せには、トルコ独特の議席配分制度(得票率10%に満たない政党に議席が割り振られず、上位政党に配分される)がカギになりそうです。クルド系政党(人民民主党、HDP)の支持率が10%前後に上昇しており、選挙戦の行方を読みにくくしています。

【ポイント2】連立の場合は不透明感強まる

大勝利でも大統領権限強化に懸念
■AKPが単独過半数を獲得できず連立政権になった場合には、政策の不透明感が強まると思われます。

■また、エルドアン大統領の強権的な政治手法、イスラム主義的な傾向、中央銀行への圧力などには、根強い批判があり、AKPが大きな勝利をおさめる場合も、大統領の権限強化への懸念が強まると思われます。AKPが5分の3の330議席以上を獲得すると、憲法改正の国民投票実施が可能となり、3分の2の367議席以上を獲得すると議会で憲法改正が可能になります。

【今後の展開】高金利がトルコリラの強み、政治不安解消がリラ安定のカギ

■政治不安や米国早期利上げ観測が波乱要因
トルコリラは、こうした政治的不透明感に加え、米国での利上げ観測などの影響を受け、昨年後半以降、米ドルや円に対し下落傾向が続いていました。今月に入り、これまでのトルコ中央銀行の金融引き締めスタンスなどもあり、リラは持ち直しつつあります。

■9%台の国債利回りなどがリラのサポート要因
総選挙は、AKPが過半数を若干上回る程度か、前回並みの議席数を獲得する場合が市場に最も歓迎されそうです。トルコの主要な政策金利(1週間物レポ金利)は7.5%、10年国債利回りは9%台にあります。政治不安が解消されれば、高金利を背景にリラは底堅い展開になると期待されます。

関連マーケットレポート