ジョコウィの来日プレゼン(インドネシア)【キーワード】
2015年3月26日
<今日のキーワード>
ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は、昨年10月の政権発足後初めて来日しました。3月22日~25日に日本に滞在した後、中国を訪問する予定です。大統領は、外国企業の投資誘致などにより、同国を生産・輸出拠点とすることで経済発展を目指しています。東京でのビジネスフォーラムでは、さながら欧米企業の経営者のようなプレゼンで、インドネシアへの投資促進をアピールしました。
【ポイント1】資源輸出から工業発展へ
完成品などの輸出を振興
■日本の政府系団体が24日に開催したビジネスフォーラムでは、自らマイクを持ち、スライドを使用して、集まった大手企業の経営者らに語りかけました。インフラ整備では、発電所、港湾、高速鉄道、高速道路の整備に日本円で50兆円にのぼる計画が示されました。また、許認可権限を集約し、投資手続きを大幅に改善する取り組みもアピールしました。これらにより、外国企業の投資を促すねらいです。
■大統領は、外国企業の投資により、同国を生産・輸出拠点として発展させることを目指しています。これまでの資源や原材料の輸出から、完成品、半製品などをアジア周辺国や中東などの一大市場へ輸出することで、経常赤字を改善するねらいもあります。その実現のために、日本企業などによる技術移転を伴う質の高い投資が期待されています。
【ポイント2】地方振興にも目配り
政府間の協力も
■大統領のプレゼンでは、現在主要な投資地域となっているジャワ島以外での投資機会もアピールされました。地方の島しょ部での港湾整備事業などにより地域間の経済格差を是正することにも配慮がなされています。
■安倍首相とジョコウィ大統領は23日、首都ジャカルタの都市高速鉄道やジャワ・スマトラ送電線などの整備に約1,400億円の円借款(融資)を供与することで合意しました。長らく生活や経済活動の支障となっていたインフラの改善が期待されます。

【今後の展開】生産・輸出拠点をめざす他のアジアの国との競争を見据えた施策も重要
■日本企業は2.5億人の市場と輸出の両にらみ
日系自動車メーカーが2017年に同国で稼働を予定している工場は、まず国内での販売向けの生産から始め、徐々に周辺のアジア諸国や中東などへ輸出する計画です。こうした同国の思惑と一致する投資が拡大するか、今後注目されます。
■賃金や資金調達コストもカギ
インドなどでも製造業分野で外国企業の誘致を進めており、競合する国は多くあります。インフラ整備を早急に進め、現地労働者の質や賃金、資金調達コストなど、多面的に投資の魅力を訴えることが投資拡大のカギとみられます。