インドの2015年度「国家予算案」(インド)【キーワード】
2015年3月4日
<今日のキーワード>
2月28日、インドの2015年度(2015年4月~2016年3月)「国家予算案」が発表されました。上・下院で可決された後、大統領の承認を経て施行されます。今回の「予算案」は、モディ政権による最初の通年度「予算案」となります。インフラ整備に向けた支出の拡大や外資の誘致をねらいとした法人税率の引き下げが打ち出され、製造業の発展を通じて高い経済成長を目指す内容となりました。
【ポイント1】インフラ投資で高成長へ
法人税率の引き下げで外資誘致
■インフラ整備では、鉄道・道路、電力などへの支出が全体で前年度比+25.5%(2014年度見込み比、以下同様)と大幅に拡大し、高い経済成長に向けた取り組みが強化されました。
■法人税率は、今後4年間で計5%引き下げ25%とする計画です。他のアジア諸国並に引き下げることで、外国企業による投資を促し製造業の発展を目指すことがねらいです。
【ポイント2】財政健全化の姿勢は維持
国民生活にも配慮
■2015年度の財政収支の赤字は、GDP比で3.9%と2014年度見込みの同4.1%から低下する計画です。インフラ関連支出の拡大により昨年設定された2015年度の赤字目標の同3.6%を上回るものの、将来への新たな赤字目標は、2016年度が同3.5%、2017年度が同3.0%となり、財政健全化の姿勢が維持されました。
■歳入は、全体では前年度比+4.6%、そのうち総税収として同+15.8%が見込まれています。歳出は、インフラ投資関連の支出が大幅に増えるものの燃料補助金の削減で全体では同+5.7%に抑えられる計画です。
■住宅や電力供給、貧困削減などの国民の不満を解消させる施策も盛り込まれました。

【今後の展開】「モディノミクス」の前進による高成長の実現に期待
■財政赤字の目標達成に注目
「予算案」で前提とされた2015年度の経済成長率は年+8.0%~8.5%と、市場予想を上回る強気な計画です。「予算案」で示された税収の増加は高めの成長率を前提としており、この成長率を維持することが財政赤字の目標達成にも必要となります。
■「モディノミクス」の前進で経済成長率底上げへ
5カ所の発電所建設や、10万キロの道路建設の計画などが示されたことから、電力などインフラ関連や物流などのセクターで恩恵が大きそうです。中長期的には、インフラ整備や外資誘致による「モディノミクス」の前進により、高成長の実現が期待されます。