ホームマーケット日々のマーケットレポート全国民の銀行口座開設で生活向上(インド)【キーワード】/マーケット情報・レポート - 三井住友DSアセットマネジメント

全国民の銀行口座開設で生活向上(インド)【キーワード】

2015年2月23日

<今日のキーワード>
モディ首相は昨年8月、すべての国民が金融サービスを利用できるよう、貧困層を中心に銀行口座を開設させる計画を発表しました。「プラダン・マントリ・ジャン・ダン・ヨジャナ(PMJDY)」と呼ばれるこの計画は、銀行口座を国民全体に普及させることにより、各世帯に埋もれる現金を金融システムに取り込み経済に還流させることや、家計への補助金支給を効率化することなどをねらっています。

【ポイント1】口座開設数は目標を上回り、普及率は99.7%に

貧困層支援の側面も
■インドでは、銀行サービスを利用していない人々が都市部で約3割、貧困層の多い地方部では5割弱に達しており、全体では約6億人にのぼるとされています。特に貧困層の銀行アクセスが改善することにより、補助金支給の漏れを防ぐことや、少額ローンによる生活の質向上なども期待され、この計画には社会福祉政策の意味合いもあると言えます。

■昨年8月時点では、今年1月26日までに新規に7,500万口座を開設する目標(その後1億口座に変更)が掲げられましたが、1月20日までに1億口座を上回りました。

【ポイント2】タンス預金の還流で経済・市場活性化

財政にもプラス
■銀行口座の普及により、各世帯に埋もれるタンス預金が金融システムに取り込まれることが進みます。こうした資金が産業や金融市場に還流することで経済の活性化が期待されます。また、ローンが普及すれば、自動車などの高額耐久財への需要が増え、経済成長率の底上げにもつながりそうです。

■家庭用ガス向けなどの補助金は、これまで現金で支給されることが多く、二重払いや支給漏れなどの非効率さが指摘されていました。これらを銀行口座を介して行うことで効率化が図られ、財政面でもプラスの効果が見込まれます。

【今後の展開】国民生活の一層の向上も、課題は口座の稼働率引き上げ

■課題は、口座の稼働率と預金額の引き上げ
口座の開設数は目標を上回ったものの、預金ゼロの口座が全体の約7割とされます。遠隔地における銀行の支店開設や取引の手続きがやりにくいという制度運用面の課題もあり、経済効果が本格化するには時間がかかりそうです。

■今後も国民生活向上への施策が続く
モディ首相は、デビットカードの普及や貧困層向け小口金融「マイクロファイナンス」の拡充、金融知識の向上、年金制度の拡充などにも取り組む方針です。実際の制度運用面の課題を乗り越え、国民生活向上が実現することが期待されます。

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