ラジャン総裁の金融政策(インド)【キーワード】
2015年2月3日
<今日のキーワード>
インドの金融政策は、物価の安定、金融市場の安定、経済成長の達成を主な目的としています。定例の金融政策決定会合は2カ月に1度開催され、現行では最終的な決定権はインド準備銀行(RBI)のラジャン総裁が持ちます。定例会合以外に臨時会合が開催され、緊急に金融政策が変更されることもあります。
【ポイント1】ラジャン総裁による金融制度改革から約1年経過
これまでにインフレ目標などを導入
■2013年9月にラジャン総裁が就任し、就任直後に諮問委員会が設立され、金融政策の枠組みが見直されました。諮問委員会は、昨年1月に物価目標の導入や合議制の金融政策委員会の設定などを提言しました。現行では定例の金融政策決定会合は2か月に一度開催され、最終的な決定権はラジャン総裁が持ちます。
■導入された物価目標については、2015年1月に年+8%、2016年1月に年+6%とし、中期的に+4%(±2%)と定められました。物価指標には、消費者物価指数が採用され、それ以前参考とされていた卸売物価指数と比べ家計への物価の影響がより適切に反映されるようになりました。
【ポイント2】物価目標導入が物価安定に寄与
為替レートも安定化へ
■物価目標が導入されて以降、RBIによる政策効果に原油安も手伝い物価は安定化の方向です。2014年12月の消費者物価指数は、前年同月比+5.0%となり、2015年1月の目標年+6%を下回っています。
■金融政策決定会合での討議内容は、公開されており、金融政策の透明性や信頼性が高まっています。 RBIに対する投資家の信認が高まったことも背景に、通貨ルピーは他の新興国通貨に比べ安定的に推移しています。

【今後の展開】定例の金融政策決定会合は本日開催
■金融制度改革の一層の前進に期待
今後の改革には、物価目標の法律化や多数決による金融政策の決定などが考えられます。当面は現行制度が続くと見られるものの、中期的に改革を通じた制度の強化や透明性の向上が期待されます。
■定例の金融政策決定会合は本日開催
本日2月3日、定例の金融政策決定会合が開催されます。市場では政策金利(レポレート、7.75%)の据え置きが予想されていますが、現行の物価の低下基調などから、年内に数回の利下げが見込まれています。