ジョコウィの「予算案」(インドネシア)【キーワード】
2014年12月11日
<今日のキーワード>
10月に就任したジョコ・ウィドド(通称、ジョコウィ)大統領は、インフラの整備や行政の簡素化により内外企業の投資を呼び込むことで、景気のテコ入れや経済の構造改革を進める方針です。
12月5日に発表されたジョコウィの2015年度「予算案」は、前ユドヨノ政権下で成立した予算を修正するもので、経済の構造改革を前進させるための各種政策が盛り込まれました。
【ポイント1】投資の拡大や生産活動の活発化をねらう
補助金を削減し、インフラ整備に振り向け
■ジョコウィ大統領の「予算案」は、燃料補助金を削減し、その分を港湾設備などのインフラ整備に振り向けることを主な内容としています。
■燃料補助金の削減は、市中の燃料価格の値上がりにつながり、国民生活には痛手となります。ジョコウィ大統領は、こうした不人気な政策をあえて取り入れ、インフラ整備などにより中長期的な経済の成長性を高めることを目指しています。また、行政手続きを簡素化するなど、内外企業による投資や生産活動が活発に行える方策も取り入れる見込みです。
【ポイント2】野党の賛成を得、成立の見込み
政治情勢は改善方向
■「予算案」は、来年初に国会へ提出される見込みです。国会の審議では、野党が与党連合を議席数で上回るものの、与野党間で対話路線が続いていることから、2月中には成立すると見られています。
■与党連合は、依然として議席数で過半数を下回るものの、政権発足時とくらべ勢力を増しており、新政権をめぐる政治情勢は改善方向にあると見られます。

【今後の展開】投資の拡大により景気は緩やかな回復の見込み
■経済のけん引役は、消費から投資へ
来年は、インフラ整備に向け政府支出が拡大し、建設・不動産部門が活発化する見込みです。景気は全般に緩やかな回復が見込まれています。
中長期的には、経済構造改革の進展により、経済のけん引役は消費から投資へ徐々にシフトし、経済の成長性が向上すると見られます。
■通貨ルピアは来年にも安定へ
インドネシア・ルピアは、資源価格の下落や米国での利上げ観測などを受け下落傾向にあります。ルピア安による輸出拡大や、経済構造改革の進展による海外からの資金流入も期待されることなどから、来年に向けてルピアは安定に向かいそうです。