「モディノミクス」が前進(インド)【キーワード】
2014年12月5日
<今日のキーワード>
インドで2014年5月に発足したモディ政権による経済政策は、「モディノミクス」と呼ばれています。「モディノミクス」は、外国企業による投資の誘致などを土台とし、製造業の発展などを目指す一連の経済政策です。これまで労働市場をはじめとする改革が進展し、海外からの投資も拡大基調にあり、「モディノミクス」は前進しています。
【ポイント1】投資規制緩和などで製造業の発展を目指す
大臣の増員により内閣機能を強化
■「モディノミクス」は、主に製造業の発展などを目指しています。これまで、雇用規制の緩和、燃料価格の一部自由化、石炭生産規制の緩和などが発表されました。これらにより、企業の雇用コスト低下、燃料補助金の削減、電力供給の安定が進む見込みです。
■モディ政権は、11月に鉄道大臣や国防大臣など4名の閣僚を含む計21名の大臣を増員し、内閣機能を強化しました。保険、国防、鉄道分野では外資出資比率の引き上げが決定されており、外資の円滑な導入やサービスの普及などで新大臣の手腕の発揮が期待されます。
【ポイント2】海外企業による投資が拡大
製造業は今後の発展余地が大きい
■工場の深夜業務などで雇用規制の緩和が決定されたことなどから、製造業の競争力が高まりそうです。海外の企業によるインドへの投資は今年に入り拡大基調にあり、改革の進展や国内市場の拡大期待からこの傾向は続きそうです。
■インドのGDPに占める製造業の割合は約15%です。他のアジア新興国(中国約37%、タイ約38%、マレーシア約25%など)と比べ水準が低いのは、インフラや制度面などで企業活動が制約されていることが主な要因です。改革の進展に応じて、製造業の今後の発展余地は大きそうです。

【今後の展開】「モディノミクス」の一層の進展により、高度経済成長も期待される
■「モディノミクス」は一層進展する見込み
今後は、保険法改正による保険サービスの拡大、物品・サービス税(GST)の導入による租税制度の簡素化、土地収用法の改正による工場用地取得の円滑化などが見込まれ、製造業やサービス業での企業活動を後押ししそうです。
■高度経済成長も期待される
インド議会では与党が単独過半数を占め、「モディノミクス」の実現は円滑に進みそうです。「モディノミクス」の一層の進展により、企業による投資環境の改善がさらに進むことから、高度経済成長への期待も高まります。