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トルコの中期経済計画(トルコ)【キーワード】

2014年11月17日

<今日のキーワード>
8月に初の国民の直接投票による大統領選挙が実施され、10年以上首相の座にあったエルドアン氏が当選しました。同氏の大統領就任後、後継首相には外相を務めていたダウトオール氏が任命され、新体制がスタートしています。政策の中心を担う首相が外交畑出身ということもあり、前内閣から経済担当のババジャン副首相、シムシェキ財務相が留任して経済政策を進める体制です。

【ポイント1】2023年ビジョンを土台に、官民が協力して輸出を促進

建国100年目に経済規模で世界のトップ10入りを目指す
■トルコ政府は2011年から「2023年ビジョン」という長期経済計画を掲げ、建国100周年となる2023年までに経済規模で世界のトップ10に入ることを目指しています(IMFによる2013年のランキングは18位)。また、高成長を支えるため、年間の輸出額を2013年の1,518億米ドルから5,000億米ドルに増やす計画です。

■9月28日、トルコ輸出業者協会は経済省と共催で、輸出促進に向けたスローガンとロゴを発表しました。ターコイズ(トルコ石)ブルーで国名を表し、輸出製品などに掲示することでトルコの持つ潜在的な魅力をアピールするとしています。発表会にはエルドアン大統領も同席し、これまで以上に官民が協力した輸出促進・経済拡大への取り組みがうかがわれました。

【ポイント2】物価と経常収支の改善で持続的な成長へ

2014年~2017年の中期経済・財政計画を発表
■ババジャン副首相は10月8日、「2023年ビジョン」を土台とした、2014年から2017年までの中期経済・財政計画を発表しました。政府は実質GDP成長率について、2014年見込みの前年比+3.3%から、2015年は同+4.0%、2016年、2017年はいずれも同+5.0%と、高めの成長を目指しています。

■消費者物価指数は、2014年見込みの前年比+9.4%から2015年は同+6.3%、2016年以降は同+5.0%を目標にしています。計画発表の際には、経済政策の最重要課題として物価の安定が挙げられたほか、経常収支の赤字縮小や構造改革も重要項目とされ、経済の健全化を通じて持続的な成長を目指す方針が示されました。

【今後の展開】政府と中銀の協力により、物価安定への期待が高まる

■従来路線で、市場には安心感が広がる
ダウトオール政権はこれまでのところ、実力派の閣僚とともに従来と同様の路線を歩む姿を見せており、市場には安心感が広がっています。

■政府も中銀の物価抑制姿勢に協調
トルコ経済にとり、物価高を抑えることが当面の重要課題です。政府が物価抑制に積極的な姿勢を明らかにしたことから、トルコ中央銀行の金融引き締め姿勢が政治圧力で緩められるとの懸念は後退しており、物価安定への期待が高まっています。

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