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タイの軍事政権(アジア)【キーワード】

2014年9月11日

<今日のキーワード>
タイでは2013年11月以降、タイ貢献党(前政権)への不満を背景としてデモ活動が活発化しました。軍は、2014年5月に治安の悪化などを受け事態の収拾のためクーデターを起こし、全権を掌握したと発表しました。9月4日、暫定政府が正式に発足し、2015年10月頃の総選挙により予定される民政復帰までの国政を担います。軍事クーデターは、立憲君主制下で過去に多く発生しました。

【ポイント1】軍人主体の暫定政権が正式に発足

暫定首相はプラユット陸軍司令官
■9月4日、タイの暫定政権が正式に発足しました。閣僚は33人で、プラユット陸軍司令官が暫定首相に就任し、軍高官や関係者が要職を占める軍人主体の内閣となりました。また、5月のクーデターで設立され国の全権を握る「国家平和秩序評議会」(NCPO)が、プラユット暫定首相を議長として存続することから、強権的な内閣となりそうです。

【ポイント2】政治改革を目指す

国内経済にも配慮
■暫定政権は、「国家改革評議会」を発足させ、前政権で問題となった汚職の防止などで政治改革を目指すと見られます。また、「憲法起草委員会」が設立され、2015年7月までに新憲法を制定する予定です。また、これまで導入が見送られてきた固定資産税や相続税の導入が検討されていると見られ、導入された場合は富の再分配が進みそうです。

■これまでのNCPOの体制下では、中断されていたインフラプロジェクト(2015年~2022年)を含む2015年度(2014年10月~2015年9月)予算案が承認されました。また、海外からの投資案件の審査が再開されるなど、経済が停滞しないように配慮されています。

【今後の展開】政治・経済の安定が当面見込まれ、来年10月頃に総選挙で民政へ

■政治・経済の安定が当面見込まれる
政治情勢は、軍事政権の高い国民支持率を支えとして安定が見込まれます。経済は、消費者信頼感指数の上昇傾向や海外からの観光客数の増加傾向などで改善の兆しが見られます。タイバーツは今年2月以降、対米ドル、対円で上昇傾向です。過去に実施された資本取引規制は、海外投資家への配慮から導入されないと見られています。

■総選挙により民政へ復帰の見込み
2015年10月頃に総選挙が予定され、タイは民政への復帰が見込まれます。暫定政権は、国内改革や新憲法の制定を主に進めると見られます。選挙による次の政権の課題は、農業や各分野の生産性の上昇などとなりそうです。

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