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インドネシアの国家予算案(アジア)【キーワード】

2014年8月20日

<今日のキーワード>
インドネシア政府は、2015年度(2015年1月~12月)の国家予算案を発表しました。予算案は、2015年度の経済成長率やインフレ率の見通しなどに基づき財務省が原案を作成し、大統領により国会に提出されます。国会へ提出後、通常は3カ月程の期間をかけて審議されます。今回はユドヨノ大統領の任期(2期目、2009年10月~2014年10月)最後の予算案となりました。

【ポイント1】歳出総額は2,020兆ルピアへ拡大

財政収支の赤字はGDP比で0.1%ポイント低下
■8月15日に発表された2015年度予算案は、歳出総額が2,020兆ルピア(前年度比+7.6%、約17兆7,000億円)、歳入総額が1,762兆ルピア(同+7.8%、約15兆5,000億円)となりました。歳入から歳出を引いた財政収支はGDP比で▲2.3%の赤字となりました。今年度(修正後の2014年度予算)に比べて0.1%ポイントのマイナス幅の縮小となり、ある程度の財政規律の維持が図られました。

【ポイント2】補助金支出を拡大し国民生活に配慮

経済成長が加速することによる税収増を見込む
■歳出の内訳は、補助金に434兆ルピア(同+7.6%、うち石油燃料向け同+18.1%)が配分され低所得者を中心とした国民生活に配慮する内容となりました。その他、公共投資などの経済分野が210兆ルピア(同+5.6%)などとなりました。歳入面では、税収が所得税などの増加により同+10.0%とされ、資源価格の低迷による国営資源企業からの収入の落ち込みを補う見込みです。

■予算案の前提となる2015年度の実質GDP成長率は前年度比+5.6%、消費者物価指数の上昇率は同+4.4%とされました。経済成長率の緩やかな加速と物価上昇率の低下が見込まれています。

【今後の展開】次期大統領は、補助金重視からインフラ支出拡大による成長重視へ?

■消費拡大にはプラス
今回の予算案は、補助金が拡大したことを除き、今年度分から大きな変更は見られませんでした。補助金の拡大は消費を拡大させる一方、燃料輸入が増加しやすくなり、経常収支の赤字を拡大させる要因にもなります。市場は、補助金を削減し、インフラ投資を拡大することを評価する傾向にあります。

■次期大統領の修正に注目
今年10月20日に、7月の大統領選挙で当選した闘争民主党のジョコ・ウィドド氏が大統領に就任する予定です。ユドヨノ大統領は、次期大統領の意向は予算案に反映されていないとし、今後の修正に含みを持たせました。次期大統領は国民生活に痛みのある補助金削減と、中長期的な経済成長を重視したインフラ支出の拡大のバランスをどうとるか、今後の注目点のひとつとなりそうです。

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