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トルコの大統領選挙(トルコ)【キーワード】

2014年8月12日

<今日のキーワード>
トルコでは、大統領が国家元首を務め、首相の任命や、条約の締結など、儀礼的な職務を行います。現職のギュル大統領は、2007年7月の総選挙で勝利した公正発展党(AKP)から国会議員の互選により選出され、任期の7年が近く満了します。今回の大統領選挙は、改正された憲法に基づく初の国民による直接選挙となり、8月10日に投票が行われました。

【ポイント1】首相のエルドアン氏が過半数の票を獲得し、大統領に当選

決選投票を待たずに決着
■大統領選挙は、7月11日に候補者が公表されて選挙戦がスタートし、AKPから党首のエルドアン首相、主要野党統一候補のイフサンオール氏などが立候補していました。

■現地の報道によると、8月10日の1回目の投票でエルドアン首相が約52%(99%開票時点)を獲得し、当選を決めました。任期は5年間で、再選が1回に限り可能なため、最長で10年間在職することができます。過半数の得票者がいない場合の決選投票は実施されないことになりました。

【ポイント2】3月の地方選挙に続きAKPが勝利

エルドアン氏の経済運営などが評価される
■トルコでは、昨年6月頃、エルドアン首相のイスラム主義的な志向や強権的な手法への反発などから、大規模な反政府デモが発生しました。また、昨年12月以降、閣僚の汚職や自身の資金疑惑などから、エルドアン氏への批判が強まる局面もありました。

■そのような逆風のなか、AKPは、今年3月に実施された地方選挙で前回を上回る得票率で勝利しました。エルドアン氏は、今回の大統領選挙でも勝利したことにより、政界の実力者として立場を強めた格好です。首相に就任した2003年以降、高い経済成長率を実現(2003年~2013年の実質GDP成長率の平均は、年+5.0%)したことなどから、経済運営の手腕が評価されたと見られます。

【今後の展開】首相の後継人事や、新大統領の政治への関与などに注目

■今後は首相の後継人事などに注目が集まる
AKPは、今年2回の重要な選挙で勝利し、支持を固めました。しかし、現段階では、エルドアン氏が後継の党首や首相を指名していないため、政府・与党がどのような人物を中心に政治運営を行っていくか、不透明な状況です。目先は、後継人事や指名された人物の政治手腕などに注目が集まりそうです。

■大統領の権限強化を目指す動きにも注目
エルドアン氏は、大統領に就任後も積極的に国政への関与を続ける意向を示しています。同氏が後継首相の政治運営にどの程度影響を及ぼすか、注目されます。また、AKPとエルドアン氏は大統領の権限を強化する憲法改正にも意欲的です。エルドアン氏の影響力が拡大するか今後も注目です。

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