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【キーワード No.1,381】マレーシア利上げ後のアジア新興国の金融政策(アジア)

2014年7月30日

1.アジア新興国の金融政策は?

 アジア新興国の中でインドネシア、タイ、マレーシア、フィリピン、インドなどの中央銀行(以下、中銀)は、ほぼ毎月金融政策会合を開催し、金融政策を決定しています。
 各国別に見ると、マレーシアとフィリピンの中銀は、足元で物価上昇を警戒し、金融引き締め方向にあります。また、インドとインドネシアの中銀は、昨年半ばごろから段階的に利上げを実施し、物価上昇と経常収支の赤字の抑制を主な政策目標としてきました。一方、タイ中銀は、今年3月に追加利下げを実施し、政情不安により低迷する景気の下支えを主な目標としています。

2.最近の動向

 マレーシア中銀は7月10日、物価上昇を抑制するため約3年ぶりとなる利上げを決定し、政策金利を3.00%から3.25%へ引き上げました。フィリピン中銀も、同様に金融引き締め姿勢を強めています。一方、インドでは、中銀による政策効果などから物価上昇率は低下基調にあり、経常収支も安定化していることから、市場では利下げ観測が強まっています。インドネシアでも、物価と経常収支に落ち着きが見られることから、7月中銀は7.5%の政策金利を8会合連続で据え置きました。タイの中銀は、景気が持ち直しつつあることから、4月以降、政策金利を据え置いています。
 まとめると、マレーシア、フィリピンでは緩やかな引き締め、インド、インドネシアでは据え置きからやや緩和、タイでは据え置き局面にあると言えそうです。

3.今後の展開

 アジア新興国の各国の金融政策と物価の方向性は、概ね近年連動性が見られます。今回のマレーシア中銀による利上げが先駆けとなり域内各国の中銀が利上げ時期を早めるとの見方も一部で浮上しています。ただし、足元では物価上昇率の方向性が各国で異なることから、各国が連動した引き締め局面となることは当面ない見込みです。
 アジア各国・地域の物価が食品やエネルギー価格、通貨の安定によりばらつきはありながらも全体的には落ち着いていることを受け、金利水準の比較的安定した推移が見込まれることは、当面の株価や不動産価格を支える要因となりそうです。

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