【キーワード No.1,331】インドの総選挙、10年ぶりの政権交代へ(アジア)
2014年5月20日
1.インドの総選挙とは?
インド下院は今年5月に5年間の任期が満了となるため、総選挙が実施されました。前々回2004年、前回2009年の総選挙では、連続して国民会議派(INC)を中心とする統一進歩同盟(UPA)が第1勢力となり、約10年間政権を担ってきました。選挙前では、与党勢力は議席数が過半数に満たなかったことから、他の政党と連携して政権を維持していました。最大の野党はインド人民党(BJP)で、その他には個別州に基盤を持つ多くの地方政党などが議席を有しています。
2.最近の動向
5月16日(金)、インドでは総選挙の開票が行われ、選挙で選出される543議席のち、現野党のインド人民党(BJP)が単独で過半数となる282議席を獲得しました。また、BJPを中心とする政治勢力の国民民主同盟(NDA)としては、協力政党の議席を加え、300議席以上となる見込みです。新政権の首相には、グジャラート州知事としてインフラの整備や国内外企業の誘致などの経済政策の実績がある、ナレンドラ・モディ氏が就任する見込みです。

3.今後の展開
BJPの議席数が単独で過半数を超えたことから、新政権は中長期的な経済成長率の上昇につながる経済構造や税制の改革などを積極的に推進できるとの期待が高まっています。今後は大統領による首相任命を経て7月に国会が開催される予定です。市場の注目は当面、モディ氏の政権運営に関する発言や、今年度(2014年4月~2015年3月)の予算案(前政権による暫定予算は6月まで)などに集まりそうです。
インドの株式市場やルピー相場は政権交代による経済構造改革への期待を織り込む形で上昇してきましたが、BJPの予想を超える躍進を受けて堅調な展開が今後も続きそうです。また、財政収支の赤字縮小や海外からの投資流入増による国際収支の安定見込みが強まる場合には、国債格付けへの懸念が和らぎ、中長期的な債券市場へのプラス要因になると思われます。