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【キーワード No.1,288】揺れるトルコの政局、地方選挙に注目(トルコ)

2014年3月14日

1.地方選挙の注目点は?

 トルコでは、3月30日に統一地方選挙が行われる予定です。今年8月にエルドアン首相が出馬見込みの大統領選挙(国民による直接選挙は初めて)が、来年に総選挙が予定されており、今回の地方選挙は与党公正発展党(AKP)など各党に対する国民の支持動向を見極める上で重要な政治イベントになります。
 特に、AKPの全得票率が前回2009年の地方選挙における約40%を上回るかどうか、最大都市のイスタンブールや首都アンカラといった主要都市の市長選挙でAKPの現職候補が再選されるかどうか、などが注目されています。

2.最近の動向

 昨年12月、現職閣僚の親族など数十人が贈収賄の疑いで検挙され、AKP政権の政治腐敗への疑いが強まりました。また、政府が検察や警察に対して報復と見られる人事異動を行ったことなどから、エルドアン首相の強権的な政治手法に対する不満も高まりました。
 さらに、2月にAKPが主導したインターネットの規制強化法案が成立したことや、同首相が息子に秘密資金の隠匿を指示したとの疑惑が持ち上がったこともあり、AKPや同首相への批判は一段と強まっています。1月から2月にかけて発表された各種世論調査によると、AKPは引き続き政党支持率のトップにあります。しかし、AKPへの反発などから最大野党の共和人民党(CHP)などへの支持率が上昇しており、足元ではAKPが苦戦するとの観測が強まっています。

3.今後の展開

 AKPが主要都市で市長の座を奪われたり、前回の地方選挙よりも得票率を大きく低下させた場合などには政治的不透明感が強まり、トルコリラや株式市場の波乱要因になると思われます。昨年6月頃に激化した反政府デモはAKPのイスラム主義的な政策やエルドアン首相の強権的な政治手法への不満が主な背景との見方もあり、AKPは同首相を軸とした今後の選挙戦略を練り直す必要が生じると見られます。
 ただし、AKPは2002年11月に政権を獲得して以降、高い経済成長(2003年から2012年まで平均実質GDP成長率年+5.1%)を実現してきた実績があります。足元でもインフラ整備などを通じた経済基盤の充実に力を入れており、AKPへの支持は所得水準の低い地方圏を中心に依然高いと見られます。今回の地方選挙で同党に対する国民の高い支持があらためて確認された場合には、同首相が大統領選挙と総選挙に向けて基盤を固め、現行の経済政策が維持されるとの投資家の期待が強まると見られます。

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