ホームマーケット日々のマーケットレポート【キーワード No.1,261】投票中止が相次いだ「タイの総選挙」(アジア)/マーケット情報・レポート - 三井住友DSアセットマネジメント

【キーワード No.1,261】投票中止が相次いだ「タイの総選挙」(アジア)

2014年2月4日

1.タイの総選挙とは?

 タイでは、2013年11月1日に与党であるタイ貢献党が、国外逃亡中のタクシン元首相の帰国に向けた「恩赦法案」を下院で強行採決したことをきっかけに政治の混乱が続いています。野党である民主党を中心とした反政府デモの拡大を受け、インラック首相は下院を解散し、2014年2月2日に選挙が行われる予定となりました。しかし、デモ隊による妨害活動により、複数の選挙区で立候補者数がゼロとなる異常事態となりました。選挙の延期を求める声が強まるなか、予定に従い2月2日に選挙が実施されました。

2.最近の動向

 反政府デモが続いているものの、選挙実施日に大きな暴力活動などは発生しませんでした。しかし、反政府デモ隊の妨害により、首都バンコクや南部地域で投票の中止が相次ぎ、375の選挙区中69選挙区で投票が完了しませんでした。投票中止となった選挙区では再選挙が検討されていますが、実施まで4~6カ月かかるとの見方もあり、実施できるかは現状未確定となっています。選挙管理委員会は、妨害により複数の選挙区で投票中止となった1月の期日前投票の再選挙が2月23日に実施されることもあり、これらの再選挙後まで2月2日の選挙結果を公表しない方針です。
 タイの国会招集(下院)には、定数500人のうち475人以上の議員が必要となっています。しかし、反政府デモ隊の妨害などにより今回の選挙では28選挙区で候補者がゼロとなっており、選挙前から新政権の発足は不可能となっていました。今回の選挙では政治的混乱を改めて露呈する形となり、今後の内政などの停滞が懸念されます。

3.今後の展開

 当面は現在のインラック政権が暫定内閣となるものの、選挙管理内閣としての位置付けになるため、内閣としての権限に大きな制約を受けます。反政府デモ隊を率いる元副首相は、インラック首相退陣までデモをやめない方針を示しており、政治的混乱解消の糸口は見えていません。政治の行き詰まりから、一部では軍の介入を予測する見方もあり、政情は極めて不透明となっています。
 選挙翌日のタイの株式市場は前週末比+1.1%(日本時間2月3日15時現在、以下同様)、タイバーツは対ドルで同+0.3%、対円で同+0.5%となっており、金融市場に大きな混乱は生じていません。ただし、タイへの外国人観光客が減少するなど、政情不安がもたらす経済への悪影響が顕在化しつつあります。多くの困難が伴うと見られるものの、経済への悪影響を最小限にとどめるため、早期の混乱収束が強く求められます。

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