デルタ型急拡大の中、期待される『抗体カクテル療法』

2021年8月5日

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感染力の強い新型コロナウイルスのデルタ型の新規感染が急拡大し、政府は8月2日に首都圏3県と大阪府に緊急事態宣言を発令するなど厳しい対応を迫られています。その対応策として、政府がワクチン接種の加速とともに7月に承認された『抗体カクテル療法』の治療薬の活用を強調したことから、『抗体カクテル療法』への注目が高まっています。同薬は国内では初めての軽症・中等症向け治療薬であり、期待されます。

【ポイント1】デルタ型対策として『抗体カクテル療法』への期待が高まる

■政府はワクチンの2回目接種率が30%程度の低水準の段階でデルタ型など新規感染者が急増したため、厳しい対応を迫られています。その対応策として政府がワクチン接種の加速と『抗体カクテル療法』の治療薬の活用を強調したことから、『抗体カクテル療法』の治療薬への期待が高まっています。


■厚生労働省は7月19日、中外製薬の「ロナプリーブ点滴静注セット」の製造販売を特例承認しました。これは2種類の抗体を併用することから『抗体カクテル療法』と呼ばれます。国内のコロナ治療薬は4つ目となります。これまでは既存薬の転用で、重症患者向けであったのに対し、新型コロナのために開発され、初めての軽症・中等症向けの治療薬となります。

【ポイント2】中外製薬が国内で開発、販売

■『抗体カクテル療法』の治療薬は米バイオ企業のリジェネロンが中外製薬の親会社であるスイス・ロシュと提携、中外製薬は国内での開発・販売権を取得し、開発を進めてきました。政府は中外製薬と供給契約を結んでおり、国が買い上げて供与する方向にあります。


■同薬は「カシリビマブ」と「イムデビマブ」という2種類の抗体を併用し、両抗体が、ウイルスの表面に結合して増殖を抑えます。軽症から酸素投与を必要としない中等症の患者に1回点滴投与することにより、重症化を回避します。同じ働きの抗体を2つ組み合わせることによる変異株への効果も期待されています。

【今後の展開】ウイルスの克服には治療薬の選択肢の拡充が不可欠

■『抗体カクテル療法』の治療薬は臨床試験(治験)では入院や死亡のリスクが7割程度減ったとされ、重症化抑制が期待されています。また軽度から中等症に投与できる薬が承認され治療の領域が広がった点も評価されます。ただ自宅療養者が急拡大する中、同薬は点滴投与のため、自宅療養者への対処策が必要となります。同薬以外にも『抗体カクテル療法』などでの新型コロナ治療薬の開発が国内外で進められていますが、ワクチンの接種拡大とともに、治療薬の選択肢が更に拡充されることが、ウイルスの克服に不可欠です。

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。

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