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米国の『年末商戦』はEC中心に堅調な見込み

2020年11月24日

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米国では『年末商戦』とは一般に、ブラック・フライデー(感謝祭翌日の金曜日、2020年は11月27日)からクリスマス・イブ(12月24日)まで、ギフト需要などによって消費が喚起される時期のことを指します。近年、消費者による出費時期の前倒し傾向や、Eコマース(EC)の利用増加などが指摘されてきました。こうした流れの中、コロナ禍における今年の『年末商戦』も概ね堅調なものになると見込まれます。

【ポイント1】コロナ禍で迎える『年末商戦』

■『年末商戦』は、米国の家計消費にとって大きな割合を占めており、足元の消費者の状況を占う意味で注目されるイベントです。

■一般には11月下旬から12月24日までとされていますが、近年では前倒しの傾向が指摘されており、10月以前の指標にも『年末商戦』の影響が反映されると言われています。

■10月の小売売上高は前月比+0.3%、ガソリンなど変動の大きい項目を除いたコア小売売上高は同+0.1%となりました。大きな伸びには届かなかったものの、家計消費がコロナ禍により大幅に落ち込んだ4-6月期を経て、7-9月期に急増したことも考慮すると、引き続き増勢を保っている点は好材料と言えます。

【ポイント2】小売業協会は堅調な水準を予想

■全米小売業協会(NRF)によると、2020年の『年末商戦』で消費者が予定している消費額は一人当たり平均998ドルです。前年の1,048ドルは下回りましたが、過去5年平均(2016年-2020年)の991ドルを上回っています。

■その中でも、食品や装飾品などギフト用品以外の消費については230ドルと前年(227ドル)、過去5年平均(219ドル)のいずれも上回っています。『年末商戦』に対する消費者の購買意欲がさほど減退していない状況が窺われますが、ギフトや年末用品以外についてはやや慎重な姿勢が見られます。

【今後の展開】ECの利用増加が『年末商戦』を下支え

■Eコマース(EC)の利用増加も、コロナ禍における『年末商戦』を下支えすると見られます。米IT企業Adobe社の予測によると、11-12月のECを利用した家計消費は前年比+33%増加し、1,891億ドルに達する見込みです。増加率、金額ともに2018年(同+17%、1,260億ドル)、2019年(同+13%、1,425億ドル)を大きく上回っています。こうしたEC利用増加も背景とした『年末商戦』の堅調さが、米国景気回復を後押しすることが期待されます。

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。

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