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注目される『オンライン診療』の恒久化

2020年10月30日

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『オンライン診療』は2018年度に保険適用されたものの対象が限定されたことなどから普及が進みませんでした。新型コロナの拡大を受けて4月から規制が時限的に撤廃されましたが、菅首相は厚労省に恒久化に向けた検討を指示、政府は『オンライン診療』の普及に向けた議論を開始しました。現状では政府と医師会などで『オンライン診療』に対する温度差があるもようですが、普及には欠かせない恒久化への取り組みが注目されます。

【ポイント1】菅首相は『オンライン診療』の恒久化を表明

■『オンライン診療』は2018年度に保険適用されたものの、普及が進みませんでした。初診は対面が原則になっており、対象疾患も生活習慣病や片頭痛などに限られ、医療機関が受け取る診療報酬が対面より低額なことなどが導入の阻害要因となったとみられています。

■新型コロナの対応を進める過程で、国内のデジタル対応の遅れが目立ち、デジタル化への機運が高まりました。政府は新型コロナの拡大を受けて4月から対面リスクの小さい『オンライン診療』の規制を時限的に撤廃しました。首相は厚労省に恒久化に向けた検討を指示、政府は議論を開始しました。また首相は10月26日の所信表明演説でデジタル化による利便性向上のため、『オンライン診療』の恒久化を推進すると表明しました。

【ポイント2】『オンライン診療』の内容については温度差

■政府の規制改革推進会議の作業部会は10月21日、『オンライン診療』の普及に向けた議論を開始しました。初診から解禁する方向は固まっているものの、対象となる病気の範囲や診療報酬のあり方を巡って、同会議と厚生労働省・日本医師会(日医)の間にはなお温度差があるようです。

■『オンライン診療』の対象疾患は日医はオンライン診療の安全性や有効性を疾患ごとに確認し、対象を徐々に広げていくべきと考え、厚労省も一定の制限は必要との立場とされます。政府は対面診療の報酬がオンラインよりも1回あたり2千円以上高い場合もあることが『オンライン診療』の普及を阻害しているとみていますが、日医は『オンライン診療』では触診や検査ができないため、対面診療のほうが高い報酬であるべきだと主張しているもようです。

【今後の展開】『オンライン診療』の恒久化は不可避

■欧米や中国ではすでに『オンライン診療』が定着しています。一方日本では、4月の時限的解禁によって増えたものの、厚労省の調査によると7月末時点で対応する医療機関は全体の15%程度で頭打ちとなっています。超高速・大容量の通信規格「5G」が実用段階に入れば、対面診療に劣らない『オンライン診療』が可能になる分野が広がると予想されます。進行する高齢化に対応するためにも、必要に応じて対面診療と臨機応変に使い分けられるよう、『オンライン診療』の恒久化は避けて通れないと思われます。

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