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注目される『新型コロナウイルス治療薬』

2020年3月25日

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中国の湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスの感染が欧州や米国など世界各地に拡大しています。世界保健機関(WHO)は、「パンデミック」を表明し、日本政府も休校、イベントなどの自粛や一部の外国人の入国を禁じるなど各国政府の対応は新たな局面に入っています。急増した感染者に対処するため『新型コロナウイルス治療薬』の開発や既存薬の活用などの取り組みが加速しており、今後の動向が注目されます。

【ポイント1】抗インフルエンザ薬や抗エイズウイルス薬など既存薬に注目

■『新型コロナウイルス治療薬』の新薬開発とともに国内では国立国際医療研究センターを中心に他の用途で開発された既存薬の検証を進めています。抗インフルエンザ薬の「アビガン」や、抗エイズウイルス薬の「カレトラ」、エボラ出血熱の治療薬「レムデシビル」といった『新型コロナウイルス治療薬』候補の患者への投与を始めました。『新型コロナウイルス治療薬』の開発には時間を要するため、既存薬を使った治療が注目されています。

【ポイント2】「アビガン」は富士フイルム富山化学が開発

■抗インフルエンザ薬の「アビガン」は、富士フイルム富山化学が開発しました。ウイルスの増殖を抑える効果が期待されています。日本では現時点で200万人分を備蓄しています。3月17日には、中国科学技術省が記者会見を行い、臨床研究で有効性を確認したと発表しました。ただ同薬は副作用の関係で全ての患者に投与できるわけではなさそうです。

■「レムデシビル」は米製薬大手のギリアド・サイエンシズが開発したエボラ出血熱の治療薬で、ウイルスの増殖を抑える効果が期待されています。中国で新型コロナの患者に投与したところ効果が確認され、同社は日米中などでの最終治験を始めました。ただ同薬はエボラ出血熱の治療薬としても未承認薬のため承認される必要があります。

【今後の展開】既存薬の新型コロナウイルス抑制効果に期待

■新型コロナウイルスの感染拡大を抑制するため、各国は入国制限や外出制限などを発動し、経済や株式市場などに大きな影響を与えています。こうした状況に早期に対応するため、既存薬の「アビガン」、「レムデシビル」などの治験を世界各国で急いでいます。薬品によっては早ければ4月には各国で有効性が確認されると見込まれます。その後投与が進めば、一定の抑制効果を発揮することが期待されます。一方で、これら既存薬は検証例が少なく、副作用の問題など課題もあります。新型コロナウイルス感染症の克服にはワクチンや新薬の開発が求められます。

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。

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