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『脱炭素社会』に向け日本企業の事業再編が本格化

2019年6月3日

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気候変動抑制に関する多国間の国際的な協定であるパリ協定が2016年11月に発効しましたが、先行する欧州に比べて日本はやや対応が遅れがちでした。ただここにきて政府は4月23日、『脱炭素社会』を目指す温暖化対策の長期戦略について初の戦略をまとめました。国内企業においても『脱炭素社会』に向けた事業構造の変革を迫られており、その取り組みも本格化してきました。今後の動向が注目されます。

【ポイント1】政府は『脱炭素社会』を目指す長期戦略を策定

■パリ協定とは気候変動抑制に関する多国間の国際的な協定で2015年12月に採択、2016年11月に発効しました。産業革命前からの気温上昇を2度より低く抑え(努力目標1.5度)、すべての国が温室効果ガスの削減目標を作り、達成に向けた国内対策をとる必要があります。

■日本政府は4月23日、今世紀後半のできるだけ早期に温室効果をガスを増やさない『脱炭素社会』を目指すとした温暖化対策の長期戦略について初の戦略をまとめました。再生可能エネルギーの主力電源化や水素の普及、二酸化炭素(CO2)を活用する新技術などによって達成を目指します。『脱炭素社会』では企業も事業構造の変革を迫られるため、国内の企業でも取り組みが本格化し始めています。

【ポイント2】『脱炭素社会』に向け脱石炭・石油の動き

■三菱重工業と日立製作所は2014年に火力発電部門を統合して、三菱日立パワーシステムズを設立しました。その同社において中期的に人員、生産体制などで事業改革に取り組む方針を表明しました。主力の石炭発電の需要不足を受け、環境負荷の小さい天然ガス発電などに注力していく方針です。

■4月に昭和シェル石油と経営統合した出光興産は、機能材事業や、再生可能エネルギーを中心とする電力事業を強化し、営業利益に占める非石油事業の割合を現在の3割未満から早期に5割へ高める方針です。

【今後の展開】産学官での持てる力を結集した取組みが必要

■太陽光、風力など再生エネルギー分野では欧米や中国などが先行していますが、日本の『脱炭素社会』へ向けた取り組みは始まったばかりです。政府は2050年までに温室効果ガスの排出を8割削減する目標を掲げますが、現状のペースでは達成は難しい状況にあります。先行する欧州などへのキャッチアップや政府目標の達成には、産学官での持てる力を結集した取組みが求められます。

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。

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