『さくらレポート』は景気判断引き下げ優勢も底堅い

2019年4月16日

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『さくらレポート』は、日銀が3カ月に1度発表する地域ごとの景気情勢をまとめた「地域経済報告」のことです。「さくら」は、報告書の表紙が薄いピンクであることにちなんでいます。8日発表の4月のレポートでは、全国9地域のうち1地域で景気判断が引き上げられ、3地域で引き下げられました。なお、米国の連邦準備制度理事会(FRB)がまとめる地区連銀経済報告は表紙がベージュ色のため「ベージュブック」と呼ばれています。

【ポイント1】北海道の景気判断を引き上げ、東北、北陸、九州・沖縄を引き下げ

地域経済は底堅く推移、設備投資や個人消費の増加が主因

■4月8日、日銀は最新の『さくらレポート』を発表しました。前回と比較すると、全国9地域中、北海道について地震の下押し圧力解消を背景に景気判断を引き上げました。一方、東北、北陸、九州・沖縄について海外経済の減速による輸出・生産の下押しを主因に景気判断を引き下げました。

■各地域の景気の総括判断をみると、6地域(北陸、関東甲信越、東海、近畿、中国、九州・沖縄)で、「拡大」の表現が使われたほか、3地域(北海道、東北、四国)では、 「回復」の表現が用いられました。景気判断は下方修正が優勢となったものの、地域経済は引き続き総じて底堅く推移しているとみられます。

■この背景として、企業収益が総じて良好な水準を維持する中で設備投資が増加傾向にあることや、雇用・所得環境が着実に改善する中で個人消費が緩やかに増加していることが挙げられています。

【ポイント2】海外経済減速が企業活動に悪影響

今後の底打ち・持ち直しに期待する声も

■今回の『さくらレポート』の「企業等の主な声」では、海外経済の減速の影響が取り上げられました。現状については輸出や生産が弱含んでいるとのコメントが目立ち、先行きについても米中貿易摩擦などを背景とした慎重なコメントがみられたものの、在庫調整の進展や中国政府の景気対策などから、今後の底打ちや持ち直しに期待するコメントもみられました。

【今後の展開】設備投資増、雇用・所得環境改善による好循環継続に期待

■2019年度の設備投資については、海外経済の先行き不透明感などから先送りや一部凍結に踏み切るとのコメントがみられた一方、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)関連の需要の増加に対応した能力増強投資や、人手不足を背景とした省力化投資を実施するとのコメントが多くみられました。これらは一過性の要因ではないため、今後も持続的な需要拡大が期待されます。

■足元では世界的な経済の減速が意識されていますが、能力増強投資や省力化投資の増加、雇用環境の改善に支えられ、日本経済の緩やかな回復傾向は継続すると見込まれます。設備投資の増加や雇用・所得環境の改善が個人消費に結びついていく好循環が続くことが期待されます。

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