『タイ選挙』、親軍政党が善戦し軍政維持へ

2019年3月26日

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2014年のクーデターから軍事政権が続くタイで、民政移管に向けた総選挙(下院選、定数500)が24日、投開票されました。『タイ選挙』は、軍事政権を事実上継続させるかが焦点で、親軍政党の「国民国家の力党」とタクシン派の「タイ貢献党」が激しく争いました。結果は、親軍政党が事前予想を上回る票を集め、事実上の軍事政権が継続する見通しです。ただ、過半数獲得には至らず、今後の連立交渉が注目されます。

【ポイント1】親軍政党が予想以上の得票

■選挙管理委員会の現地時間24日午後11時半時点の集計によると、全国の得票数は軍政の継続とプラユット暫定首相の続投を目指す親軍政党「国民国家の力党」が約764万票、タクシン派のタイ貢献党が約716万票でした。

■現地メディアは開票率94%の時点で、小選挙区(定数350)の獲得議席数を「タイ貢献党」が135、「国民国家の力党」が98と予測しています。「タイ貢献党」は2011年の前回総選挙の小選挙区の議席数204を大幅に下回っています。ただ、両党とも、比例区を含めても単独過半数には届かない見通しです。

■タイ国会は上院と下院の二院制で、上下両院の全750人で首相指名選挙を実施し、過半数を得た候補者が首相に就きます。軍政下で発効した新憲法では、事実上、上院(定数250)を軍政による任命制に変えたため、親軍政党は下院の126議席をとれば上院の250議席とあわせて過半数を得て、プラユット氏を選任できることになります。

【ポイント2】タクシン派は苦戦

■5年ぶりの政権奪還を狙ったタクシン派の「タイ貢献党」は伸び悩みました。この背景には、軍事政権が選挙に向けて選挙制度の変更を行うなど、入念に準備を進めてきたことに加えて、過去に反対派との政治闘争を繰り返したタクシン派よりも、政情を安定させた軍事政権を国民が評価した可能性も考えられます。

【今後の展開】親軍政党の連立交渉に注目

■『タイ選挙』の結果、「国民国家の力党」も「タイ貢献党」も下院で過半数に達しない見通しです。ただ、「国民国家の力党」は単独もしくは連立で126議席を獲得すれば、次期首相にプラユット氏を選任することができます。同党は、下院での安定した議会運営も目指し、他の政党に対し連立交渉を行うとみられます。

■一方、軍事政権の継続は、タイの政治・社会が安定する道筋が見えてくることから、経済や金融市場にとってはプラスと考えられます。

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