近く目標達成が期待される欧州の『財政赤字』【キーワード】

2018年4月12日

<今日のキーワード>
リーマン・ショック後の景気後退により、ユーロ圏の多くの国で『財政赤字』が拡大し、ギリシャなどでは債務問題が注目されました。ユーロ加盟国は、各年度の財政赤字をGDPの3%以内、公的債務残高を同60%以下とするルールとなっています。ユーロ圏景気の拡大に伴い、今年は全ユーロ加盟国が『財政赤字』目標を達成する見込みです。一方、公的債務残高は高水準のままの国も多く、長期的な課題となっています。

【ポイント1】ユーロ圏経済は潜在成長率を上回る安定した成長が続く

財政政策は、緊縮から拡張的へと転じ、景気を刺激

■かつて2008年のリーマン・ショック後には世界的に景気が後退し、ユーロ加盟国の多くで『財政赤字』が拡大しました。このため、ユーロ圏は緊縮的な財政政策をとっていましたが、景気を刺激するため、2014年頃より中立ないしはやや拡張的な財政政策へと転換してきています。

■これに加え、世界経済全体が回復基調となり、ユーロ圏域内向けに加え、アジア向けなどの輸出が好調となったことなどから、ユーロ圏経済の実質GDP成長率は2017年に同+2.3%となるなど、2015年以降は潜在成長率と考えられる1%台前半を上回る安定した成長が続いています。

【ポイント2】『財政赤字』が改善

今年は全ユーロ加盟国が目標達成の見通し

■景気が拡大していることから、ユーロ圏の『財政赤字』は改善しています。なかでも、過剰な『財政赤字』を抱えていた国には、それぞれ対GDPで3%以内とする目標達成期限が設けられていましたが、ポルトガル、ギリシャは2016年にこれを達成しました。そしてフランスは2017年、スペインも今年達成が見込まれていることから、2018年には全ユーロ加盟国が『財政赤字』の目標を達成する見通しです。

■欧州債務問題の発端となったギリシャでは、EUの支援により構造改革が進展したことで、『財政赤字』の減少とともに、国民のユーロ支持の安定により、政治的にも落ち着きが見られます。

【今後の展開】公的債務残高の改善が長期的な課題

■『財政赤字』目標達成の一方、各国の公的債務残高に大きな改善は見られていません。例えば、ギリシャでは対GDP比180%程度の水準が続いており、不良債権比率も50%程度と高水準です。こうした公的債務比率等の改善に向けては、名目成長率を高める必要があります。ユーロ圏経済の成長ペースは、2017年後半を直近のピークにやや鈍化していますが、来年にかけて堅調な景気拡大が見込まれます。また景気拡大により賃金にも徐々に上昇圧力がかかると見られ、インフレは徐々に高まると考えられます。このため公的債務残高の改善は長期的な課題ではあるものの、徐々にその進捗が期待されます。

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