「5中全会」は中国株への長期投資をサポート
2020年11月6日
1.5中全会は5カ年計画に加え、2035年までの長期計画を策定
2.習指導部は一層地盤を強固に
3.成長率の数値目標に言及なし
4.技術開発によって中国は中進国の罠を回避へ
1.5中全会は新たな5カ年計画に加え、2035年までの長期計画を策定

2.習指導部は一層地盤を強固に
■2010年の5中全会では、現在の習主席が、中央軍事委員会の副主席に選出され、当時の胡錦涛国家主席を引き継ぐ最高指導者としての地位を固めました。しかし、今回の5中全会では、若手幹部を抜擢する後継者人事はありませんでした。習主席の後継者につながる人事が示されなかったことで、2022年の任期以降も習氏が主席を続投する可能性が強まりました。

3.成長率の数値目標に言及なし
■中国国営新華社通信は11月3日、5中全会で策定した2035年までの長期目標と2021年~25年の第14次5カ年計画の基本方針の全容を伝えました。
■その中で、習主席は「2035年までにGDPと1人当たりの収入を2倍にすることは完全に可能だ」との見通しを示しました。ただ、経済成長率の目標については、新型コロナウイルスの影響や世界経済の低迷など不確定要素が多いこともあり、具体的な数値目標の言及はありませんでした。

■次期5カ年計画の基本方針では、米中対立の長期化を想定し、ハイテク覇権の争いに向けた産業政策を盛り込みました。「国家の戦略的科学技術力の強化」を掲げ、人工知能(AI)や量子情報、半導体などの分野に重点を置く方針を示しました。また、戦略的な新興産業を発展させる分野として、情報技術や新エネルギー車、航空・宇宙などを挙げました。

4.技術開発によって中国は中進国の罠を回避へ
■なお、2021年~2035年までの15年間で1人当たりGDPを倍増させるには、年平均4.7%の成長が必要です。世界銀行によると2019年の中国の名目GDPは約1万米ドルですので、この倍は2万米ドルです。過去、多くの新興国が1万ドルの壁を突破しきれなかったため、中進国の罠という言葉がありますが、中国はそれに陥ることなく成長を続けることが想定されている事になります。
■一般的に、中進国の罠に陥らずに成長を続けるには、人材の育成と技術進歩によって生産性を高める事が欠かせません。中国は既に種々の計画により、技術開発を積極的に進めており、今後も続くとみられますので、引き続き高めの経済成長が期待できます。

関連マーケットレポート
- 日々のマーケットレポート
- 日々のマーケットレポート