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2019年3月調査 日銀短観 予測

2019年3月20日

―大企業・製造業・業況判断DIは、+11程度に大幅低下を予測―
―中国景気減速などの負の影響が感じられる内容に―
―中小企業・業況判断DIは製造業・非製造業ともプラス(「良い」超)を予測―

●3月調査日銀短観では、大企業・製造業の業況判断DIが+11程度と12月調査の+19から8ポイント程度悪化するとみた。中国景気減速などの負の影響が感じられる内容になろう。但し、13年6月調査以降24期連続して「良い」超のプラスは維持し、景気の底堅さは感じられる数字になるとみた。

●また、大企業・非製造業の業況判断DIは+22程度とこちらは12月調査の+24から2ポイント程度とやや悪化するとみた。但し、非製造業は11年9月調査以降31期連続で「良い」超のプラスになろう。

●この予測は、日銀短観DIと連動性が高いことが知られているQUICK短観(3月調査)やロイター短観(3月調査)などを参考にした。

●3月15日に発表されたQUICK短観3月調査の調査期間は3月1日から3月12日である。製造業DIは12月調査の+20から8ポイント悪化の+12となった。また、非製造業DIは12月調査の+35と同じ+35となった。

●3月20日に発表されたロイター短観3月調査の調査期間は3月4日から3月15日である。3月調査400社ベースの製造業DIは12月調査の+23から13ポイント悪化し+10となった。一方、200社ベースの製造業の業況判断DIは12月調査の+14から6ポイント悪化の+8となった。製造業のDIの変化方向はQUICK短観を含めて全て低下である。

●また、ロイター短観3月調査400社ベースの非製造業DIは12月調査の+31から9ポイント悪化の+22となった。また、200社ベースの非製造業の業況判断DIは12月調査の+28から1ポイント改善の+29となった。非製造業のDIの変化方向はまちまちである。

●なお、3月調査の大企業・製造業の業況判断DIが予測通り+11程度なら、12月調査の「先行き見通し」+15を4ポイント下回ることになる。事前の予想を下回り、思った以上に景況感がかなり下振れたことになる。また大企業・非製造業が予測通り+22程度なら、12月調査の「先行き見通し」+20を2ポイント上回ることになる。前回調査時の先行き予想より非製造業では上振れることとなり、予想よりもやや良かったということになろう。内需の底堅さを示唆する内容と言えよう。

●QUICK短観3月調査の製造業の6月までの「先行き見通し」は+13で3月実績の+12より1ポイント改善の予想、非製造業の6月までの「先行き見通し」は+30で3月実績の+35から5ポイントの悪化予想である。

●一方、ロイター短観3月調査の6月までの「先行き見通し」は、製造業・400社ベースで+11と3月実績の+10から1ポイント改善の見込み、製造業・200社ベースで+23と3月実績の+29から6ポイント悪化の見込み、非製造業・400社ベースの6月までの「先行き見通し」は+23と、3月実績の+22から1ポイント改善の見込み、非製造業・200社ベースの6月までの「先行き見通し」は+23と、3月実績の+29から6ポイント悪化予想である。

●日銀短観の大企業・業況判断DIの6月までの「先行き見通し」は、QUICK短観やロイター短観などを参考にして、製造業で3月実績比1ポイント改善の+12程度、非製造業は3月実績比2ポイントの悪化の+20程度と予測した。

●3月調査日銀短観の中小企業の業況判断DIは製造業が+8程度と12月調査の+14から6ポイント程度悪化すると予測した。非製造業は12月調査の+11から3ポイント程度悪化し+8程度になるとみた。この予測値は、景気ウォッチャー調査の企業動向関連の現状水準判断DIなども参考にして予測した。

●なお、中小企業・非製造業の業況判断DIは13年12月調査で92年2月調査以来のプラスにようやく転じた後、14年12月調査を新しい調査対象企業(+1)でみると、この3月調査で22期連続マイナスではない状況が続くことになる。このマイナスではない状況の連続記録は、87年9月調査から92年6月調査の20期連続というバブル期につけた最長記録を2期上回ることになろう。雇用吸収力の大きい非製造業の業況判断DIの底堅さが、好調な雇用状況につながっていよう。

●参考データの景気ウォッチャー調査の企業動向関連の現状水準判断DI・季節調整値の最近の推移は製造業が12月調査49.3、1月調査44.3、2月調査46.1と景気判断分岐点の50を下回る水準での推移が続いている。一方、非製造業は12月調査49.9、1月調査51.8、2月調査50.1と足元は50をやや上回っている。景気ウォッチャー調査の動きからは製造業の弱含みと非製造業の底堅さが感じられる。なお、日銀短観は水準の調査なので、景気ウォッチャー調査の方向性の現状判断DIではなく、参考データの現状水準判断DIの方を重視した。

●中小企業・製造業の業況判断DIが+8程度と予測通りなら、12月調査の「先行き見通し」の+8と同じになる。事前の見通し通り悪化したことになろう。また中小企業・非製造業が+8程度と予測通りなら、12月調査の「先行き見通し」+5を3ポイント上回り、景況感が事前に思ったほど悪化しなかったことになろう。

●日銀短観の中小企業・業況判断DIの6月までの「先行き見通し」は、景気の先行き不透明さが依然強い中では慎重な回答が多いように思われる。製造業で3月実績比4ポイント悪化の+4程度、非製造業は3月実績比5ポイント悪化の+3程度と予測した。非製造業では先行きをいつも慎重にみるというクセも考慮した。

●2018年度の大企業・全産業の設備投資計画は前年度比+13.0%程度と予測した。12月調査の同+14.3%から伸び率が鈍化しよう。過去の修正パターンなどを参考にした。2019年度の大企業・全産業の設備投資計画は前年度比+0.5%程度と予測した。

●2018年度の中小企業・全産業の設備投資計画は前年度比▲1.4%程度と、12月調査の同▲3.7%から上方修正されると予測した。中小企業の設備投資計画は例年3月調査が弱く、その後は1年後の3月調査まで調査の度に改善していく傾向があることなどを参考にした。2019年度の中小企業・全産業の設備投資計画は前年度比▲19.8%程度と予測した。

<3月調査日銀短観・予測値>

1)大企業

           

           3月製造業DI                                                  +11

           3月非製造業DI                                               +22

           6月製造業DI                                                  +12

           6月非製造業DI                                               +20

2018年度設備投資計画(全産業)前年度比                      +13.0%

2019年度設備投資計画(全産業)前年度比                      +0.5%

2)中小企業

          

            

           3月製造業DI                                                  +8

           3月非製造業DI                                               +8

           6月製造業DI                                                  +4

           6月非製造業DI                                               +3

2018年度設備投資計画(全産業)前年度比                      ▲1.4%

2019年度設備投資計画(全産業)前年度比                      ▲19.8%