ホームマーケット日々のマーケットレポート最近の指標から見るブラジル経済(2014年8月)  景気低迷から脱するカギは公共投資と輸出【デイリー】/マーケット情報・レポート - 三井住友DSアセットマネジメント

最近の指標から見るブラジル経済(2014年8月)  景気低迷から脱するカギは公共投資と輸出【デイリー】

2014年8月19日

【ポイント1】生産の低迷と消費の減速が鮮明に

W杯開催中は景気が下振れ
■6月の鉱工業生産指数は前年同月比▲6.9%と、3月から4カ月連続のマイナスになりました。また、マイナス幅は前月(同▲3.4%、改定値)から拡大しました。

■6月の小売売上高(物価の影響を除いた実質ベース)は前年同月比+0.8%となり、前月(同+4.7%、改定値)から大きく低下しました。

■サッカーW杯の自国開催(6月12日~7月13日)は、工場や商店の臨時休業などを通じて、景気の減速度合いを一段と強める要因になりました。

【ポイント2】物価上昇率は依然高水準

電力料金引き上げなどが押し上げ
■7月の消費者物価指数は前年同月比+6.50%と、前月(同+6.52%)から小幅に低下しましたが、ブラジル中央銀行(以下、中銀)の目標レンジ(年+2.5%~+6.5%)上限近辺の水準が続きました。

■サッカーW杯の終了により、ホテル料金や航空運賃などが下落しました。一方、電力料金が引き上げられたことなどから、全体の低下は小幅にとどまりました。

【今後の展開】公共投資の拡大や、堅調な輸出などが景気の下支え要因に

■ルセフ大統領は低迷の続く景気に配慮し、公共投資を拡大しています。しかし、政権交代による経済政策の刷新期待が強まっており、10月の大統領選挙では再選に向けて苦戦が予想されます。

■米国や中国の底堅い景気を背景に、輸出は持ち直しが見込まれます。輸出は、公共投資の拡大とともに景気の下支え材料として要因されます。

■中銀は7月16日、政策金利を11%で据え置きました。賃金上昇や公共料金引き上げなどにより、物価上昇率の低下には時間がかかると見ていることなどが背景です。中銀は景気下振れを意識しつつも、物価上昇率の高止まりを強く警戒していると見られ、次回会合(9月2日~3日)でも、高水準の政策金利を維持する見込みです。

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