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「外国人旅行者」増加と宿泊施設の拡大(日本) 【キーワード】

2016年6月20日

<今日のキーワード>
日本を訪れる「外国人旅行者」は、2015年に約2,000万人に達しました。政府は観光業をGDP600兆円達成への成長戦略として位置づけ、3月末に、「明日の日本を支える観光ビジョン」を発表しました。ビジョンの中期目標として訪日外国人旅行者を2020年に2倍の4,000万人に、2030年に3倍の6,000万人に増やす目標を設定しました。実現のためには、新規の宿泊施設建設や民泊制度の拡充が不可欠です。

【ポイント1】「外国人旅行者」は、5月までの累計で29%増の973万人

熊本地震などの影響で伸び率は鈍化傾向

■日本政府観光局(JNTO)が15日に発表した5月の「外国人旅行者」数は、前年同月比15.3%増の189万人となりました。熊本の震災の影響で、特に近隣の韓国からの来訪が減少したため、伸び率は2カ月連続で10%台に鈍化しました。中国からの来訪者は前年同月比で31%増と好調を維持しています。年初から5月までの累計では、「外国人旅行者」は前年比29%増の973万人となりました。

【ポイント2】宿泊施設の不足が将来のボトルネック

2020年に倍増の4,000万人へ

■政府は2020年に「外国人旅行者」数を2015年の倍増となる4,000万人に増加させる計画を打ち出しました。2016年以降、年率で約15%の成長を続ければ達成できる計算になります。

■ところが、これ以上「外国人旅行者」が増加すると、宿泊施設の不足が生じる懸念が出てきました。既に大都市や著名観光地を中心にホテルや宿泊施設の稼働は、ほぼ満室に近い状態となっており、宿泊料金の上昇傾向が顕著です。今後、ホテルの新規建設が見込まれますが、室数の増加は限定的なため、早急に解決策を講じる必要があります。

【今後の展開】民泊の拡大、ホテル用地の容積率拡大に期待

宿泊施設の増加を図る有力な手段として、現在二つの重要な施策が進められています。第一は民泊の拡大です。主として既存のマンションや住宅を活用するため、収容人員の増加に即効性があります。既に東京の大田区などの特区で、民泊の実施が行なわれつつありますが、これを全国的に拡大する方向で、「旅館業法」の改正など規制緩和策が検討されています。

第二は6月13日に国土交通省が公表した宿泊施設用地の容積率緩和制度の創設です。これはホテルなど宿泊施設用地に限り、従来の土地の容積率を最大1.5倍にしようという内容です。具体的には6階建てのホテルが上限の土地に、9階建てのホテルが建築できるようになるものです。建て替えや、新築促進の効果が高いと予想され、大いに注目されます。

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