人民元が10月より「SDR」に採用(中国) 【キーワード】

2016年9月26日

<今日のキーワード>
「SDR(特別引き出し権)」は、国際通貨基金(IMF)が出資比率に応じて加盟国に割り当てている仮想の通貨です。加盟国は外貨準備に「SDR」を組み込み、通貨危機などの時には「SDR」を差し出すことで、他の加盟国からドルや円などを融通してもらうことができます。「SDR」は現在、ドルとユーロ、英ポンド、円の4通貨で構成されていますが、10月から人民元が加わります。人民元は国際準備通貨の仲間入りを果たします。

【ポイント1】人民元は10月より「SDR」の構成通貨に

人民元の国際化に向けたステップ

■中国の習近平政権は、人民元の国際化を進めています。人民元が、10月からIMFの「SDR」の構成通貨となることは、人民元の国際化に向けた重要なステップととらえられます。

■「SDR」に採用されることで、世界的に決済や投資に使われる国際通貨のお墨付きを得たかたちとなり、IMF加盟各国の外貨準備への人民元組み入れや国際金融市場での人民元建て取引の拡大に弾みがつくことが期待されるからです。

【ポイント2】「SDR」に基づく債券発行

人民元の取引拡大狙う

■中国当局は、「SDR」を使った金融商品を作り、人民元の国際的な地位の向上に取り組んでいます。

■世界銀行は9月2日、中国・上海に拠点を置く銀行を引受先として、「SDR」に基づく債券を発行しました。債券の価値は「SDR」建てで計算しますが、購入する銀行は人民元で資金を払い込み、元利も人民元で受け取ります。発行後は中国の銀行間市場で取引が可能です。

【今後の展開】資本取引などの完全な自由化には時間が必要

■中国政府は、将来的には人民元の完全な変動相場制への移行や資本取引の自由化を進める方針と見られます。ただし、現在中国政府は株式や債券への投資といった資本取引の自由化には慎重です。国内経済の動揺につながりかねない海外への資本流出をけん制するため、最近は銀行への行政指導などで資本規制を強めています。短期的には人民元の完全な自由化や規制緩和は進まない可能性が高いと見られます。

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