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「一帯一路」は構想から実現へ(中国)【キーワード】

2015年4月24日

<今日のキーワード>
「一帯一路」は、現代版シルクロードの構築を目指した中国の経済・外交政策のことです。中国から中央・西アジアを経由して欧州につながる「シルクロード経済帯」(一帯)と、東南アジアからインド洋、中東、アフリカを経て欧州に至る「21世紀海上シルクロード」(一路)の2つのルートの構築により、周辺国と中国の経済協力を進め、関係国の長期的な経済発展を目指す考えです。

【ポイント1】「一帯一路」推進の重点は、インフラ建設と物流ネットワーク強化

資金面では、シルクロード基金や国有政策銀行を機動的に活用
■中国政府は3月28日、「一帯一路」推進に向けたビジョンと行動指針を発表しました。推進の重点を、周辺国と共同での道路、鉄道、港湾などのインフラ建設と、周辺各地とのネットワーク強化による貿易・物流の円滑化などに置き、互恵的な関係構築を目指します。

■資金面では、年内に稼働を予定するアジア・インフラ投資銀行(AIIB)の他、シルクロード基金や国有政策銀行の活用が見込まれます。

【ポイント2】「中パ経済回廊」からスタート

周辺国はインフラ整備のメリット
■4月20日に、中国とパキスタンは、「中パ経済回廊」の建設で合意しました。「中パ経済回廊」とは、中国の新疆ウィグル自治区とパキスタンのインド洋に面した港湾を結ぶ物流ルートのことです。この回廊が整備されると、アフリカや中東から、中国の内陸部への物流コストが大幅に軽減され、パキスタンには大規模なインフラ整備が中国の資金により行われるメリットがあります。

■同回廊建設は総額約450億米ドルの巨大プロジェクトです。その第一弾として、中国企業が水力発電所を建設・運営する約16.5億米ドルのプロジェクトに、「シルクロード基金」を通じて中国が投資すると報道されました。

【今後の展開】「一帯一路」は、構想から実現へ向けて一歩踏み出す

■機動的な「シルクロード基金」の投資
57カ国が参加(4月15日時点)するAIIBと異なり、「シルクロード基金」は中国人民銀行が所管するため、投資決定は機動的です。パキスタン以外との経済協力も今後具体化すると見られ、「一帯一路」は構想から実現へ向かって今後ペースが加速すると見込まれます。

■「一帯一路」推進は国内でも重要視
国内では、東南アジア諸国連合(ASEAN)と陸海で接続する地域での自由貿易試験区設置、モンゴルや中央アジアにつながる内陸部での道路や鉄道建設など、「一帯一路」関連の政策に重点が置かれています。「一帯一路」推進による貿易や物流の円滑化・活発化は、中国の中長期的な成長への貢献が期待されます。

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