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旧NISAはどうすればよい?非課税期間終了前にするべき対応について解説 旧NISAはどうすればよい?非課税期間終了前にするべき対応について解説

旧NISAはどうすればよい?非課税期間終了前にするべき対応について解説

2025.07.09

旧NISAが2023年末で終了し、2024年に新NISAがスタートしました。旧NISAで保有している商品はどうなるのか気になっている方も多いのではないでしょうか。そこで、旧NISAの保有商品がどうなるのか、どういった選択肢があるのかについて解説します。 

旧NISAの非課税保有期間について

2023年末で旧NISA(「つみたてNISA」と「一般NISA」)は終了し、新たな買い付けはできなくなりましたが、すでに保有している商品は、つみたてNISAなら購入時から20年間、一般NISAの場合は5年間、非課税のままで継続保有可能です。

たとえば、2023年につみたてNISAで購入した商品は最長2042年まで、一般NISAの場合なら最長2027年まで非課税で運用が継続できます。これは2024年以降の新NISAとは別枠で、保有商品を新NISA口座に移管することはできません。

旧NISAの非課税保有期間終了後はどうなる?

上記の非課税保有期間が終了した時点で、保有している商品は課税口座(特定口座・一般口座)に移されます。また、以前のように非課税保有期間終了後、翌年以降にロールオーバーすることもできなくなりました。したがって、既に旧NISAで運用している資産については、非課税保有期間終了前に状況に応じた方針を考えておく必要があります。

課税口座で運用する

非課税保有期間が終了すると保有している商品は自動的に課税口座に移されます。この際の取得価格は課税口座に移された時点での時価となり、それ以降の売却益や配当、分配金に税金がかかります。
たとえば、NISA口座で投資信託を100万円で購入し、非課税期間終了時に90万円に値下がりしたとします。この時点で、NISA口座から課税口座へ移った場合は90万円が取得価格となります。その後、95万円まで値上がりしてから売却した場合、当初NISA口座における購入価格の100万円に対して損失が出ていたとしても、5万円が利益として課税対象となります。
反対に、非課税期間終了時点で値上がりしていた場合も見ておきましょう。
NISA口座で投資信託を100万円で購入し、非課税期間終了時に110万円に値上がりしていた場合、課税口座における取得価格は110万円となります。その後105万円に値下がりした時点で売却したとすると、課税口座においては損失が出ていることとなり、税金はかかりません。
例に挙げたように、非課税期間終了時点で購入時よりも値下がりして課税口座に移った場合には、当初NISAで購入した時点からみると利益ではない部分にも課税されてしまうことがあるため、特に注意が必要です。

非課税保有期間終了前に売却する

保有商品は非課税保有期間中、いつでも売却することができます。非課税保有期間が終了する年の年末までに売却すれば、値上がりして売却益が出ていても税金がかかりません。一方、値下がりして損失が出た場合、もちろん税金はかかりませんが、他の課税口座の利益との損益通算はできません。

新NISAで同一銘柄を買い戻す

旧NISAで保有している商品が新NISAの対象商品になっていれば、非課税保有期間が終わる前に売却し、同一銘柄を新たにNISAの成長投資枠で買い戻すことで、非課税保有期間の延長(ロールオーバー)に近い効果を得られる可能性があります。この場合、取得価格は買い戻した時点での時価となり、当然ながら新NISAの年間投資枠、非課税保有限度額を使うことになります。

まとめ

旧NISAの保有商品は慌てて売却する必要はありませんが、非課税保有期間終了後には課税口座に移ってしまいます。期間終了までに売却した場合の損益、配当や分配金、価格の見通しなどを勘案して、保有を続けるか、売却するか、さらに新NISAで買い戻すかを検討しましょう。

たとえば、含み益があれば期間内に売却して非課税メリットを享受するという考え方もあります。一方、含み損はあるけれど配当利回りが高い銘柄の場合、期限ギリギリまで配当や分配金を非課税で受け取ってから売却するという方法もあるでしょう。また、改めて新NISA口座で買い戻すことを考えてもいいかもしれません。

どうすればいいか迷う場合は、お取引のある証券会社や銀行の担当者、FP(ファイナンシャル・プランナー)などの専門家に相談してみるといいでしょう。

(執筆)三枝裕介

マネーライター。個人投資家向けマネー雑誌『MONEY JAPAN』(現KADOKAWA)で副編集長、書籍編集長などを経て、独立。2011年には、財務省の広報誌『ファイナンス』で1年間特集記事を担当した。2018年、休刊していた『ネットマネー』(産経新聞出版)を株式会社ZUUにて復刊、編集長を務める。2020年にマネーライターに転身し、現在に至る。『夕刊フジ』では、中小型の材料株に注目するコラム「来週の剛腕株」などを執筆。

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